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gaga'n'boo
もう一ヶ月くらい同じバイトしてるのに。
あ、涅槃で待ってます。
マユです。
趣味は殺人事件なんかのあらましをネットで調べる事です。
津山三十人殺し事件とか。
もう一ヶ月くらい同じバイトしてるのに、未だに慣れない、スピーディーに仕事がこなせない。
ガガさん。
あたしの仕事は野菜を袋に詰めて時給790円貰う事なんだけど。
外国人のババアが多くて、日本人で組むのはいつも同じ人なの。
ガガさん。
すぐ怪我するから、ガガンボみたいだなって思って。
ほら、ガガンボって蚊をでかくした感じの虫。
いるじゃん?
でも蚊と違って全然血とか吸わなくって、で、ちょっとキモチワルイって感じでハタいたら。
手、当たってないのに、ぽろって足とか取れたりすんじゃん。
なんか超貧弱と言うか。脆弱と言うか?
デブでどんくさくって大人しい性格で、脆い(主に体が)。
それであたしの中では密かにガガさんって呼んでるんだけど。
ガガさん、今日もケガ。
刃物使ってないのに、手切ってるし。
昨日は何にも無いところで躓いて捻挫してるし。
一昨日は電車に乗ってるだけで熱でたとか言ってるし(ちゃんと仕事来たから良いんだけど)。
ガガさんのケガ情報を毎日彼氏に報告してる感じ。
あまりにもケガするもんだから彼氏が気の毒に思って、パチンコで取った景品のお菓子持ってってあげれば、とか言いだした。
―なんか可愛そうだからチョコあげるよ。
これ、言われた方どうなの?
考えちゃうよね。
だがしかし。
あたし、普段全然喋らないの。
彼氏とブログは別だけど。
彼氏以外とは会話で一回に20文字以上喋ったことない。
こんなに長い台詞言えるのやらどうなのやら。
だってなんか。
言葉って面倒くさいじゃん?
あたしの持論でもあるんだけど。
人類の進化は言葉を失くす事だって。
みんなテレパシーが使えるようになれば科学はもっと発達するとかしないとか。
あたしは最先端の人間だからあまり喋らないわけ。
うそ。
人間じゃなかった。改造人間だった。
ま、いっか。
そんなわけで今日、ガガさんにお菓子を持っていった。
いつも以上に静かなあたしの班。
中国人のババア。
メキシコ人のババア。
ガガさん。
あたし。
外国人同士は全然喋んない。多分言葉がわかんないから。
ガガさんも寡黙だし。
あたしも寡黙だし。
10分休憩の時、カバンからチョコと酢昆布を取り出した。
あげる。
ガガさん、「えっ?!」って感じでこっち見た。
―あげるよ。
しばらく見つめ合う、あたし&ガガ。
なんか変な空気になった。
その時だった。
中国人のババアがあたしのお菓子を奪い取った。
「くれる? ありがと」
さすが中国人。ニコリともせず。
―ってか、ババアにやるんじゃないんだけども。
ババアはあっという間に居なくなった。
ロッカーに戻って自分のバッグに仕舞うんだろう。
そして家の子供にやるんだろう。
あたしの手から奪ったお菓子を。
まあ、元々ガガさんにあげるつもりだったし、別にいいんだけど。
―共産主義ってなんなんだろうね。
あたしが呟くと、ガガさんがブフッと笑った。
「私がさっさと受け取らないから……ごめん」
―謝らないでよ。
「えっ」
―謝らなきゃいけないことしてないじゃん。ガガさん。
「うん……えっ、ガガさん?」
あ、しまった。
つい、本人の前でガガさんって言っちゃった。
―名前、わかんないからガガさんって呼んでるの実は。
「あっ、そうなんだ。なんか……カッコ良すぎて恥ずかしいな」
別にカッコ良くねえよ。ガガンボから来てんだし。
とは、言わなかった。
「なんかレディーガガみたいで」
レディーガガって何?
そのうち、中国人のババアが帰ってきた。
そして予想外な事にあたしの手に、中国版の福助?
みたいな人形を握らせてきた。
「あげる。あなた、ワタシ、友達」
そしてホントに予想外な事に、中国ババアが笑った。
でも。
んー。
なんだろ。
この中国福助、カワイイような気持ち悪いような。
「わあ、カワイイ。泥人形だ」
ガガさんが嬌声をあげた。
デブって無駄に声が可愛い事がある。
てか、泥人形って何?
パペットマンって事?
―じゃあ、あげるよ。
「えっ」
―あげるつもりだったし、お菓子。
「ええー。いいんですか。でもさっきのオバサンに悪いし」
丁度いい感じに、ババアはタバコを吸いに行って居なくなってた。
―いいよ。わらしべ長者みたいじゃん。
「えっ。長者?」
―うん。わらしべ長者。お菓子が人形になったから。
「……そっかー。長者かあ」
―いや、あの、わらしべ。
「私が長者に……」
ガガさんは休憩が終わったあとも「……長者かあ」と口癖のように言っていた。
あ、涅槃で待ってます。
マユです。
趣味は殺人事件なんかのあらましをネットで調べる事です。
津山三十人殺し事件とか。
もう一ヶ月くらい同じバイトしてるのに、未だに慣れない、スピーディーに仕事がこなせない。
ガガさん。
あたしの仕事は野菜を袋に詰めて時給790円貰う事なんだけど。
外国人のババアが多くて、日本人で組むのはいつも同じ人なの。
ガガさん。
すぐ怪我するから、ガガンボみたいだなって思って。
ほら、ガガンボって蚊をでかくした感じの虫。
いるじゃん?
でも蚊と違って全然血とか吸わなくって、で、ちょっとキモチワルイって感じでハタいたら。
手、当たってないのに、ぽろって足とか取れたりすんじゃん。
なんか超貧弱と言うか。脆弱と言うか?
デブでどんくさくって大人しい性格で、脆い(主に体が)。
それであたしの中では密かにガガさんって呼んでるんだけど。
ガガさん、今日もケガ。
刃物使ってないのに、手切ってるし。
昨日は何にも無いところで躓いて捻挫してるし。
一昨日は電車に乗ってるだけで熱でたとか言ってるし(ちゃんと仕事来たから良いんだけど)。
ガガさんのケガ情報を毎日彼氏に報告してる感じ。
あまりにもケガするもんだから彼氏が気の毒に思って、パチンコで取った景品のお菓子持ってってあげれば、とか言いだした。
―なんか可愛そうだからチョコあげるよ。
これ、言われた方どうなの?
考えちゃうよね。
だがしかし。
あたし、普段全然喋らないの。
彼氏とブログは別だけど。
彼氏以外とは会話で一回に20文字以上喋ったことない。
こんなに長い台詞言えるのやらどうなのやら。
だってなんか。
言葉って面倒くさいじゃん?
あたしの持論でもあるんだけど。
人類の進化は言葉を失くす事だって。
みんなテレパシーが使えるようになれば科学はもっと発達するとかしないとか。
あたしは最先端の人間だからあまり喋らないわけ。
うそ。
人間じゃなかった。改造人間だった。
ま、いっか。
そんなわけで今日、ガガさんにお菓子を持っていった。
いつも以上に静かなあたしの班。
中国人のババア。
メキシコ人のババア。
ガガさん。
あたし。
外国人同士は全然喋んない。多分言葉がわかんないから。
ガガさんも寡黙だし。
あたしも寡黙だし。
10分休憩の時、カバンからチョコと酢昆布を取り出した。
あげる。
ガガさん、「えっ?!」って感じでこっち見た。
―あげるよ。
しばらく見つめ合う、あたし&ガガ。
なんか変な空気になった。
その時だった。
中国人のババアがあたしのお菓子を奪い取った。
「くれる? ありがと」
さすが中国人。ニコリともせず。
―ってか、ババアにやるんじゃないんだけども。
ババアはあっという間に居なくなった。
ロッカーに戻って自分のバッグに仕舞うんだろう。
そして家の子供にやるんだろう。
あたしの手から奪ったお菓子を。
まあ、元々ガガさんにあげるつもりだったし、別にいいんだけど。
―共産主義ってなんなんだろうね。
あたしが呟くと、ガガさんがブフッと笑った。
「私がさっさと受け取らないから……ごめん」
―謝らないでよ。
「えっ」
―謝らなきゃいけないことしてないじゃん。ガガさん。
「うん……えっ、ガガさん?」
あ、しまった。
つい、本人の前でガガさんって言っちゃった。
―名前、わかんないからガガさんって呼んでるの実は。
「あっ、そうなんだ。なんか……カッコ良すぎて恥ずかしいな」
別にカッコ良くねえよ。ガガンボから来てんだし。
とは、言わなかった。
「なんかレディーガガみたいで」
レディーガガって何?
そのうち、中国人のババアが帰ってきた。
そして予想外な事にあたしの手に、中国版の福助?
みたいな人形を握らせてきた。
「あげる。あなた、ワタシ、友達」
そしてホントに予想外な事に、中国ババアが笑った。
でも。
んー。
なんだろ。
この中国福助、カワイイような気持ち悪いような。
「わあ、カワイイ。泥人形だ」
ガガさんが嬌声をあげた。
デブって無駄に声が可愛い事がある。
てか、泥人形って何?
パペットマンって事?
―じゃあ、あげるよ。
「えっ」
―あげるつもりだったし、お菓子。
「ええー。いいんですか。でもさっきのオバサンに悪いし」
丁度いい感じに、ババアはタバコを吸いに行って居なくなってた。
―いいよ。わらしべ長者みたいじゃん。
「えっ。長者?」
―うん。わらしべ長者。お菓子が人形になったから。
「……そっかー。長者かあ」
―いや、あの、わらしべ。
「私が長者に……」
ガガさんは休憩が終わったあとも「……長者かあ」と口癖のように言っていた。
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